亡くなった親の後を継ぎ、組長の立場になった。
組は先代組長時代に大きく方向転換し、地元密着の便利屋稼業を営んでいて、
静果もその流れを受け継ぎ近隣住民とは良好な関係を育んでいる。
学園などで少々浮いた存在なのは否めなかったが、静果には少ないながら気の置けない仲間がいた。
幼なじみでもあり、護衛役としていつも側にいてくれる刀塚冬子。
世界で活躍するマジシャンの娘で、後輩だけれどもマジックの師匠と慕っている巫希乃。
組長だと知っても優しく接してくれる先輩、高根沢穂波。
そして、友好関係にある耶雲組の組長の孫娘であり、現在は近くで看護師として働いている耶雲里緒。
そんな仲間たちに囲まれ、穏やかな学園生活を送る静果だったが、その平穏が徐々に陰り始める。
静果たちの暮らしている地域では少し前からカジノ招致の話が出ているのだが、
その賛成派と反対派のやりとりに裏社会の勢力が関わっているという噂を耳にする。
幼い頃に映画で見たカジノディーラーに憧れを持つ静果は、カジノ自体に悪い印象はないのだが、
招致前提の強引な地上げなどが行われていると聞き、黙っていられなくなる。
正々堂々とした議論を促すため、組の看板を背負って調停に乗り出すのだが、
その純真な気持ちは大人の悪意に飲み込まれてしまう。
理不尽な賭けに乗せられ不本意な勝負に負けてしまった静果は、
住民たちの平和と引き換えに自らの身体を差し出すことに。
容赦無い男たちに弄ばれる日々が続くも、懸命に耐え続ける静果。
しかし男たちの悪意は静果の仲間たちも侵食していく……。