初めの数秒間、画面は真っ暗だった。
しかし黒いわけではなく、どこかを映している映像が暗すぎるんだ。
これはなんだ……? まさか、ずっと真っ暗な場所を映しているわけじゃないよな。
――そう思っていたところ、パッとライトが点灯し、画面の中央にあるものが照らし出される。
【信一】
「なっ――!?」
思わず声をあげてしまった。
画面の中央にいたのは、佳澄さんらしき人物だが、長い髪の毛が流れて顔が確認しづらい。
いや、顔はハッキリとは見えないが、その髪型、服装は確かに見覚えのあるものだ。
間違いがない。
佳澄さんがイスに両手両足を縛られて、拘束されているんだ。
頭はカクンと下げていて、微動だにしない。
眠らされているのか……、それとも気絶しているのか。
どちらにせよ、いま意識はないようだ。
【信一】
「か、佳澄さんっ……!」
嘘でも冗談ではない。佳澄さんは薄暗い場所に拘束されている。
あのメールの通り、本当に……誘拐されてしまったのか。
【信一】
「くそっ! 佳澄さん起きて!」
それが動画だというのも忘れて、俺は思わず声を出した。