『Last Waltz 〜白濁まみれの夏合宿〜』
「……ただの、夏合宿のつもりだった」
私立宮ノ森学園に通う望月有希は、彼女がマネージャーを務める野球部と共に
強化合宿のため、学園の保有する合宿所へと訪れていた。
宮ノ森学園は裕福な家庭の子女が集まる学園。
合宿所は、日本ではないとある外国の離島に建てられた施設で
有希はそこで数週間、野球部員と共に野球漬けの毎日を送るはずだった。
だが、合宿も中盤を回った頃、ラジオから信じられない放送を聴くことになる。
島を保有する国で内戦が起こったというのだ。
合宿に来ている他の部の帰りの便、食料の受け渡しすら出来なくなり、
状況を知るため現地スタッフと共に船を借り、本国へ向かう男性教諭たち。
しかし、一日経ち、二日経ち……。
何の連絡もないことに不安を押し殺して先生たちの帰島を待つ
学園生たちだったが……。
その願いは最悪の形で裏切られることとなる。
数日後、教諭たちを乗せていたはずの船が大破し、
浜へと打ちあげられていたのだ。
頼るべきものを無くし、いつ帰れるかも……いや食料が底をつき
生命の危機を感じはじめた状況のなか、
徐々に正常な理性を失ってゆく学園生たち。
ほとんどの部活を構成しているのは、男子。
今にも崩れそうな各部の暴走を鎮めることは、有希には出来ない。
孤立した島を舞台に、長く重い狂気の刻が蠢き出す。
「この島で、私たちはまだ生きてる。でも……」
We are not dead yet.
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