『美畜!』

“安藤香奈”は二十六歳。
大手出版社・光集館で、知的な現代女性に圧倒的支持を受けている月刊雑誌《セ・フィニ》の美人編集者だ。
彼女が担当する連載企画は、どれもが読者投票で常にベスト3に入り、なかでも一番の人気は社会心理学者で大学助教授“恵庭史郎”と組む『世紀末の快楽装置』。
これは現在の社会に巣くう性を取りあげ、興味本位でなく鋭い問題意識で対象へ切りこむ姿勢が、読者の共感を得ていた。

そして、次回のネタとして取り上げられたのは魔道館というSM道場を主宰している“宇都魔道”。
これまでマスコミに取りあげられたところによれば、彼のもとへ軽い感覚でマゾ調教を受けにくる二十歳前後の女性がふえているのだという。
それに興味を持った恵庭は、これは面白そうだからぜひ行ってみたい、と持ちかけてきたのだ。
多分に引けるものがあったが、香奈は仕事だと割り切り、恵庭と一緒に魔道館へと向かったのだった。

[ 前に戻る ]
(C)WillPlus/Guilty